パーマニアの日々

　逃げないシンジの「父殺し」と「皆の魂を救済」をきっちりやってのけた庵野監督に賞賛を送りたい。
　もちろん映像的にも見所が多かった。過去のエヴァ作品、ナディアとかヤマトとか監督絡みの作品のオマージュも進めつつ、新しい結末へ進んでいくのを見るのは楽しかった。観念世界の第三新東京市やミサトの家でのバトルはミニチュアセットの特撮を思い出す。

　電車でのシンジとゲンドウの対話シーンで、私は個人的に『続・パーマン』でこれから書く予定のサライラ・ケネスの物語に通じるものがあると思いながら見ていた。父を認め、許すことができるまで成長できたシンジは本当にすごいと思う。

　今作で個人的に惹かれたのは、「第三村」と村人たち。ポストアポカリプス世界の舞台としても想像の余地が深まる舞台で、守られる側だったクラスメイトたちのその後が描かれ、シンジたちが心を癒やす過程がじっくり描かれるのは良かった。TV版では怪我で退場したトウジの別の未来や、ケンスケの株上げぶりも素晴らしい。これからのオタクはサバイバルオタクですよ。

　一方で、ミサトが艦長として、母として成長した描写や、シンジをどう扱うか戸惑う乗組員たちの描写もあったのでバランスがとれていると思った。

　今回も本編で既存曲を効果的に使用しているが、「VOYAGER～日付のない墓標～」は特に好きな曲なので嬉しかった。これをカラオケで歌ったらネタバレになりそうだけど歌いたい。

　これで版権スパロボに参戦したらどう再現されるかの楽しみも増えた。早くても１年くらい先だろうが、『Q』までの参戦で不完全燃焼だったので、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』単体でもいいかもしれない。
　

　最後に与太話を一つ。
　以前、『エヴァ』と『闘士ゴーディアン』が似ているという説をネットで見た。タツノコプロの関与、ポストアポカリプス世界の中心都市を襲う敵、第一話で主人公を助けるため少女がロボットに乗り込み包帯姿になる、背景にある謎の「プロジェクト」等である。
　今回本編でシンジのシンクロ率が「９９９９」つまり∞と表示されたとき、私の頭に浮かんだのはゴーディアン７２話の「ゾーン９９９９」だった。「超宇宙」ならぬ「裏宇宙」にも行くし。エントリープラグが地上に着水したときも『パンスペルミア説だ(違います)!』と一人で興奮していた。エンドロールにタツノコプロの名前があったのも嬉しかった。