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2004.07.15

『スパイダーマン2』鑑賞

-例によってこの記事には内容のネタバレがあります-

 勝手に「スパイダーマンはつらいよ」(「パーマンはつらいよ」より)という邦題を付けている『スパイダーマン2』をようやく見てきた。吹替版で、ピザ屋の兄ちゃん役の水島裕が印象に残った。TMNの日本版テーマソングは吹替キャストの時にしか流れず、なんのために起用したのか疑問だ。
 前作の鑑賞は必須だろう。私も覚えているつもりだったが、ピーターのメガネの理由をすっかり忘れていた。

 話はどうしてもパーマンの立場と引き比べながら見てしまう。仲間がいないので、秘密を一人で抱え込まなくてはいけないピーター。コピーもないので、普段の生活との両立も大変だ。ヒーローと個人的に親しいと思われているのもパーマンと1号の関係と同じ。コスチュームの洗濯もしていたが、パーマンセットもアニメでは「週に一度クリーニングしろ」とバードマンが言っていたっけ。危険に巻き込みたくないため、幼なじみのMJに誤解されても言い返せない。パーマンの場合は、「バードマンが動物に変身させるから」になるわけだが、やはり子供には脅しをかけないと律せないと判断したのだろうな。中盤、能力を無くしたスパイダーマンがエレベーターで一般人と乗り合わせる気まずいシーンがあるが、「飛べないパーマン」で、電車出動を余儀なくされる1号を思い出してしまった。
 結局、自分の生活を犠牲にしてまで正義のために生きることに疑問を持ったピーターは、MJの婚約発表が引き金になってスパイダー能力を無くしてしまう。引退を決意し、普通の学生生活を楽しむピーターだが、火事の中に残された子供を見過ごすことができず、丸腰で火の中へ飛び込んでしまう……。やはり彼はミツ夫と同じく、「本物の正義のヒーロー」の血を持っているのだ。

 結局、スパイターマンに戻ったピーターは、紆余曲折の上MJに正体を明かし、晴れて両思いになるのだが、やっぱ結婚式当日に教会から逃げるのはベタベタだよな。ちゃんと続編への布石も張ってあるので楽しみだ。

 今回印象に残ったのは、メイおばさんと市井の人たちだ。ドック・オクにも怯まず立ち向かい、ピーターに夫の死の真相をうち明けられても大きく包み込む態度。火事のシーンで、自分なりにピーターを助けようとする子供や、電車でスバイダーマンを助けようとする乗客たちなど、要所要所で等身大の人々がベストを尽くそうとしている姿が見られるのが印象深い。

 数日前、ある同人誌用に、「アメリカにはスパイターマンがいるが、日本にはパーマンがいる」と記したのだが、その後、事態は大きく変わってしまった。映画ドラの延期が決まり、映画パーマンがどうなるか全く分からないまま、もやもやしたものを抱えていたのだが、メイおばさんがピーターに、ヒーローが世界にいなければならない理由を語るのを聞いていて、涙があふれるのを止めることができなかった。映画パーマンが延期になっても、耐えていけるエネルギーを本作からもらったような気がする。

<付記>
 前作で、60年代のアニメ版スパイダーマン主題歌をEDに使っていたサム・ライミ監督だが、今回も劇中の辻楽士と、EDにアレンジ版が使われていた。私も子供の頃、テレビ東京で見ていた記憶があるが、本編は全く覚えてなくても、この曲のバックに使われていた映像は覚えている。我々が「きてよパーマン」を映画OPで見て喜ぶのと根っこは一緒なんだろうな。

 パンフレットに、映画の撮影現場を本物のスパイダーマンが訪れるという回が紹介されていた。洋の東西はあれど、考えることは同じなのだな(『パーマン』では「巨大ロボットの襲撃」)。

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