『暗い日曜日』観劇
-このレビューには内容のネタバレがあります-
安原さんが出演する舞台『暗い日曜日』を見てきた。同名の映画が原作で、第二次大戦時のブダペストが主な舞台となる。
安原さんは前回楽屋で喋った際、「出番は最初と最後だけ」とおっしゃっていたがどうしてどうして。この劇は登場人物が多いので兼ね役が当たり前。安原さんも三役を掛け持ちしている。メインの役は「店主(現在)」。この劇の舞台となるレストラン「サボー」の店主で、舞台中央でスポットライトを浴びるシーンもある。何故この劇の主役級でもないのに目立つのか。その理由はラストで明らかになる。
次の役は過去のブダペスト、「サボー」の常連の画家である。いつもピアノの真上の席に座り、絵を描いている。このピアノを弾くピアニスト、アンドラーシュが作った曲がタイトルの「暗い日曜日」である。ある日、いつものように「暗い日曜日」が弾かれ出すと、画家は手すりから身を乗り出し、憑かれたように曲に聴き入っていた。
シアターフォーラムの写真が分かりやすいのでご紹介。一番下の左上が画家の安原さん。
翌日、店主のラズロは画家が自殺したということを聞かされる。遺書には「暗い日曜日」を聞いたので満足して逝けるという意の内容が書かれていた。だが、アンドラーシュはレコーディングのため、ラズロの恋人のイロナと共に出かけていた。
レコーディングされた「暗い日曜日」は世界で評判になる。曲を流すラジオ番組のアナウンサーも安原さんだった。だから厳密にいうと四役ということになる。
しかし、曲を聴いて自殺するという出来事が相次ぎ、アンドラーシュは自責の念を抱くようになる。折しも、ナチスの侵攻が始まろうとしていた。そして、ラズロとアンドラーシュの間で揺れ動くイロナ。彼女を取り返したいが、これ以上関係が壊れるのを恐れて動けないラズロ。一応こっちがメインストーリーだ。
安原さんの最後の役はなんと老婦人役。ナチス占領下の「サボー」の客の一人。だが、ストールがすっぽり頭を覆っていたので、顔はよく分からなかった。
ナチスの将校で、以前からイロナに気を寄せていたハンスが出入りするようになり、ユダヤ人のラズロは無関係なイロナに店の権利を譲ろうと考える。アンドラーシュは「暗い日曜日」を弾くのを強要するナチス将校に抵抗して自決し、ラズロも連行される。ラズロを助けようと、あえてハンスの欲望に従うイロナ。だが、ラズロは帰ってこなかった。
一度は命を絶とうとするイロナだが、体内の命に気付いて、生き抜こうと決意する。
そして現在。ドイツ人の老人が久方ぶりに「サボー」を訪れる。店内に飾られたスズランに感激し、いつも食べていた料理に舌鼓を打ち、店のピアニストに「暗い日曜日」を弾かせる。直後、老人は突然苦しみだし、亡くなった。心臓発作である。店を閉めた後、店主の安原さんは飾ってあったスズランを捨ててくるよう店員に命じる。そして続ける。
「今後一切、スズランはこの店には飾るな」と。
店主はイロナの息子で、スズランはハンスがかつてイロナに贈った花だった。この時、スズランの毒性についてとうとうと聞かされたイロナは、息子と共に、愛した二人の復讐にスズランを利用したのだろう。ということに私が気付いたのは、帰宅してからだった。
ル・テアトル銀座は初めてだったが、椅子の座席が前半分だけ曲がるという面白い作りをしており、荷物を置いて離れても椅子が跳ね上がらないような仕掛けになっていた。さすが高いだけのことはある、と妙な部分で感心した。
また、現在パートはピアノとバイオリンとチェロの生演奏が入り、たいそう贅沢だった。OPでシャンソンとなった「暗い日曜日」を歌う中川和泉は、ピンクのドレスが似合っていて、ミュージカルで歌う星野スミレをだぶらせてしまった。
終演後、近くの日劇に寄って、『ハットリくん』の前売りを購入してから帰宅。選べるストラップは手裏剣をもらった。
日劇の9階に上ったら、いきなりカットリくんの立て看板を見つけて失笑。そういえば、今度のスマスマでコントやるそうで。忘れないようにしないと。
向かいの劇場は、『ハリー・ポッター』の先行オールナイト待ちと思しき人々がひしめいている。もちろん私も見る予定だが、一番の期待はゲイリー・オールドマンの吹替。よっぽど飛び道具を出さなければ、安原義人か山路和弘だと思うのだが。
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